「私の絵日記」



1982年10月 北冬書房刊
B5判上製196ページ  定価 本体価格(1748円)+税


 この絵日記は、正助が「カーチャンの部屋」と呼んでいる、台所の、ナベやカマの横で描きました。
 きっかけは、正助の幼い時の家族の生活記録を残したいと思い、8ミリで撮るとなると高価についてしまうので、うちは貧乏だし、ということで絵日記を思いついたのです。
 正助が大きくなってから見て、喜こぶんじゃないかなあ、と始めた訳ですが、北冬書房の高野さんの目にふれ、出してくださる事になったのです。
 そうなると不思議なもので、それまでらくに描けていたものが(居眠り半分のもあります)だんだん描くのが難しくなってきました。それと、家庭の事情も悪化し、内容も当初のものとは少し変わってきました。
 ふつう、日常というのは、曖昧に過ぎていくと言うか、変化に乏しいものですが、絵日記を描き始めてから不思議に次から次と、正助の入園・つげの発病、それに加えて一家中流感にかかるという、我が家にとっては決して小さくない事件が重なり、変な云い方ですが、絵日記を描く上ではこう材料に恵まれたようです。
 生活記録として始めた訳ですから、出来るだけありのままを描きました。もちろん、一日の出来ごとを全部を描く訳ではありませんので、どの部分を描くかで、ニュアンスもずいぶん変わってくると思います。前半は楽しく、後半は暗く、我ながらちょっと異質な感じがしますが、現実もそうでした。
 つげの発病前後の事は、描くことで追体験することになり、つらくて何度も中断しました。
 つげの病名は「不安神経症」というのですが、簡単に云えば、とりこし苦労が病的になった状態です。この病が出ると、何事も心配が先に立ち、行動が抑えられてしまうため、仕事はおろか、日常生活までもギクシャクしてしまうことになります。ひどい時には、めまい、足の硬直という具合に、体にまで症状が現れます。
 元々精神的に未熟な私ですので、そんな状況になったとき、あたふたとしてしまい、あげくに私まで精神的に不安定になり、つげを助けるどころか、二人して落ち込んでいたような状態でした。ですから家庭環境は余計に暗くなり、感じやすいたちの正助に影響があったのでは、と今になって思ったりします。
 描き始めた時はまだ幼児だった正助も、今年からピッカピッカの一年生になりました。相変わらずの恥しがりやで、フトンにおネショしたのだけは、他人に見せないで、と気にしています。
 これからどうなっていくか、続編も、生活記録として、いずれ描きたいと思っています。
 最后に、描く事を許してくれた、オトウサンに感謝します。なにしろ、他人には見られたくない恥しい部分も描かれてしまった訳ですから・・・・・・あとから読み返してみると、カッコいいところは全然なく、むしろ、カッコ悪さばかり出てしまったようです。
 辛抱強く待って下さった高野さん、どうもありがとうございました。

1982年8月    藤原マキ

 


絵日記  1月 4日

絵日記  1月30日

絵日記  2月24日

絵日記  3月24日

絵日記  4月15日

絵日記  4月28日





 

藤原マキ著『私の絵日記』は、1982年10月に北冬書房より刊行されました。1984年5月に再販、その後ながらく絶版の状態にあったが、93年10月に旧版に若干の増補をし再販しました。
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