「駄菓子屋」藤原マキ画集


1994年6月ワイズ出版
A4判上製78ページ 定価(本体価格)2816円+税


 セルロイドで出来た田舎娘みたいな筆箱とか、馬フン紙製の着せかえ人形≠ネんて知ってる?今でこそボール紙と呼ばれるけど、馬の糞が乾くと正にそっくりのその馬フン紙に、肩とか要所要所に引っかけ用の張り出しの着いた、洋服だの着物だのハンドバッグだの巾ちゃくだの、あげくにクツ下まで履いた靴だのリンゴを剥いている手首まで印刷された、そんな楽しい着せかえ知ってる?着せかえの反対の首かえ≠ネんていうのもあって、何だかオソロシイ生首のようだけど、要するに頭がいろいろあって、帽子を被ってたり、洋髪・日本髪・短髪長髪そしてめがね顔、顔はみんな同じで馬フン紙に首だけ上だけいっぱい並んでいるのだ。それを切り外して基になる体の方にすげたりまた着せたりするというわけ。同じ着せかえでもかの有名なリカちゃん人形の足元、イヤ爪先にも及ばない馬糞紙なのだけど、私にとっては憧れのオモチャだったのだ。
 また、文化人形という名の、また時には良い子人形という名で呼ばれた、日本中どこにでも居て誰でももっていた、お腹を押せばミーミー泣き、体は木クズ手足はモミガラで出来た可れんな人形、これが私は欲しくて欲しくてたまらなかった。だけど、その頃うちは貧乏で買えないのは小さい私でも分かっていた。そこで私はいろいろ工夫したものだ。ボロ布を丸めそれを人形がわりにオンブしてママゴトやったものだった。ママゴトだってちゃんとしたママゴト道具などユメのユメ、割れ茶碗だの皿を拾ってきてはやったものだった。だけど、それでも楽しくて、幼な友だちタカちゃんやモリちゃんと一日中やっても飽きないのだった。お医者さんゴッコもよくやった。
 ―結局ついに手にはいることのなかった憧れのお人形やオモチャたちはそのまま私の胸に棲みついてしまった。心の駄がしやとして・・・・・・。

1994年4月    藤原マキ



   
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